工房・寂

ゼミソン・ダリル

芸術監督

ゼミソン・ダリル 1980年、カナダのハリファックス生まれ。オンタリオ州ウォータールーにあるウィルフリッド・ローリエ大のグレン・ビュアー氏、リンダ・ケイトリン・スミス氏のもとで最初の音楽的訓練を受けた。その後渡英、ギルドホール音楽演劇学校でダイアナ・バレル氏に師事、ヨーク大ではニコラ・レファニュ氏のもとで研鑽を積む。文部科学省の奨学生として来日後、東京藝術大学の近藤譲氏に作曲などを学んだ。平成30年度から昭和音楽大学で非常勤講師。

ゼミソンの作品は時空間に対する鋭い感覚に支えられている。能や日本の伝統音楽(特に箏)、また日本の詩歌から強い影響を受けており、現在は音楽的時間と歌枕の心理
地理学に深い興味を持っている。代表的な作品に「ヴァニタスシリーズ」三部作がある。モノオペラ「松虫」(2014年)、音楽演劇「フォーリングス」(2016年)、和楽器五重奏のための「憂きこと聞かぬところありや」(2017年)がある。他に主要な作品としては、3つの弦楽器四重奏曲「埋木」「warm stones」「monkish fires」、舞踏家大野一雄氏に献呈された声・琵琶・笙のための三重奏「スペクトル」、二つの大規模な室内楽作品「crystal grapeshot bouquet」及び「con tu sueño en mi sueño」、尺八による協奏曲「鎖されし闇」、短編映画「Goodbye My Son」のサウンドトラック、また声楽と箏のための作品「古代女神に扮した私」などがある。近年ではフィールドレコーディングへの関心を強めており、2016年にはフィールドレコーディングとパーカッションのための作品「muons」を作曲。彼の作品はボッツィーニ弦楽四重奏団やMusiques Nouvelles、Orchestre National de Lorraine、アンサンブル室町、ピアニストの井上郷子氏、琵琶の上田純子氏、箏の吉澤延隆氏やマクイーン時田深山氏、アルノルト・シェーンベルク室内楽団、ヨーク大学室内楽団などによって幅広く演奏されている。

ゼミソンは現在、ミュージック
シアター「工房寂」のアーティスティック・ディレクターを務めている。東京を拠点とした国際的な作曲家集団Music Without Bordersの設立メンバー、また同時に世界中の若手作曲家の作品を、日本の聴衆に届けることを目指して活動するトリオであるmmm…の共同設立者招聘作曲家でもある。日本の伝統的な楽器のために作品を提供し続けている邦楽2010および日本現代音楽協会所属。

研究活動も並行して活発に行っており、京都学派の美学、現代音楽と精神性に関する論文を執筆中。2018年、第3回一柳慧コンテンポラリー賞受賞。カナダカウンシル、文部科学省、ヨーク大学などからの受賞、助成多数。

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